2025/10/06 17:32

一般的に擬音語や擬態語の総称として使われる、オノマトペという言葉。
表現としての呼称は古代ギリシャのオノマトぺイアというから、紀元前からのもの。
日本では表現手法として古事記に載ってるというんだから、天地開闢の頃には使われていたと考えるのが道理なのだろうか。
使われる言葉の種類としては韓国や日本が多いのだそう。
ただ。
これらの様子を音として言葉として表す、オノマトペという言葉が日本に根付くのは結構最近になってから。
まぁ、適当に。
勢いに任せて相手に共感を強いる類の言葉だろうと思うので。
発することにセンスこそ必要とせよ、それらを統括して論じるのはナンセンスということなのかもしれない。
個人的に好きなのは、”りっくりっく”という足音のオノマトペ。
25年ほど前に。
マイナーなんだかメジャーなんだか判断が難しい界隈で世界的に発信され、うん十億人中の数百万人のさらに一部が認識を得た言葉。
なんというか、そう知ってる人いないですよね。
それでも、心情というか情景みたいなモノが浮かぶんじゃないかしらん。
特異な例はともかく。
一般的なはずなのに最近距離を感じるのは、”チックタック”や”カッチコッチ”といった時計のオノマトペ。
光の様子や雪の降る音と違い、実際に秒針が進むために発生するそれは。
脳のブレーカーが落ちた時や心穏やかになった時とか、時間だけでなく心理状況みたいなものを認識できるので好きなのですが。
身の回りがすっかりデジタル化することで、表現としては高尚なものになったような気がします。







3H147 BLACK . Hunter brown ( Col. black/brown Size. free ) 115280yen with tax / Messerschmitt

そうした。
少し身遠くなったアナログ時計の中で、憧れというほどではないけども思わず食指が動くのが機械式時計。
自動巻きであれば、まぁ大事に毎日使っていれば動き続けてくれるし。
お洒落をして出かける日にこそということだったら、ゼンマイを巻き時間を合わせるちょっとした余裕が穏やかな一日を動かしてくれます。

黒のケースに黒の文字盤。
それに焦茶のレザーベルトの組み合わせが渋い佇まいの時計は、1907年創業のドイツAristo社のMesserschmitt : 3H147 BLACK。
スイス式ムーブメントでドイツ製のハンドメイドというのもくすぐってきます。

ケースサイズは存在感のある42mm。
厚みとのバランスがよく、程よい重さを感じます。
クラシカルな文字盤はドイツらしいフォントのインデックス。
機能も時針分針秒針に少し頭でっかちなリューズが一つと極めてシンプルな時計です。
存在感に対してギラついた厳しさがないのが気に入っているシリーズだったのですが、残念ながら廃盤になったそうで。
せっかくだしと最後の一個を譲り受けることに。



機械式時計だからこそ気になるムーブメントは、ETA2428-2。
スイスが誇るムーブメントメーカーの時間がズレにくい実用機として1971年に開発し、その後は広く世界で採用された型式。
その中でも 2880振 / h という性能はハイビートの中でも耐久性が高いバランスの良いもの。
パワーリザーブは40hほどなので、しっかりとゼンマイを巻き上げて日中に10時間ほど着用していれば夜間に針が止まることもなく連続使用が可能です。
ケースの裏側から機構が覗けるのも楽しみの一つで、それぞれの歯車の動く速さの違いが面白い。
チックタックではないけれども。
耳を澄ますと、微かにこ気味良い音が聞こえてくるのも嬉しくなります。



日が落ちると、蓄光したインデックスと針が明るく浮かぶ仕様。
秒針をはっきりと見せるあたりにミリタリーウォッチの矜持を感じます。



一人の時。
時間や予定の確認はスマートフォンを見ることが多くなったのは事実ではあるのだけども。
誰かと一緒の時に。
スマートフォンを取り出さない所作の美しさみたいなものを思い出しながら。
調べ物をしている最中にも、在るべきものが収まるべきところに在る安心感。
ちょっと昔気質なカッコよさをもう少し先まで連れていくのにも、このぐらい愚直な感じが心地いい。
情報過多の日常で、すんと情報が途切れたその時にこそ。
心音以外にコツコツと刻まれる時間を思い出してみませんか。

ぜひ、店頭で手に取ってみてください。

    

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RÜCKWÄRTS
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