2025/08/15 16:11

先日。

ATOZのデザイナーがミュージックビデオに出演したときに、映画のワンシーンを意識して歩いたという話をした。

普段のアンテナに掛からない映画だったので推してもらって良かったなと、アンセル・エルゴートの映画を観ることに。

色彩や切り出し方は今っぽく、ヒタヒタと懐かしさのあるカオスで面白い映画でした。

観る世代でどこに視点がいくか明確に分かれるように撮られていて、人で印象や感想が変わるんだろうなと。

自分が観るとどうしても背景に意識がいきがちになり、来歴を確認していくような楽しみ方をしていたけども。

彼らはもっと表面から本質を感性的に捉えるのだろう。

それは洋服でも。

特に古着とかに顕著に感じる、90年代の洋服を懐かしいと思うか、斬新と思うかの違いのようなもの。

その懐かしいを斬新と感じる感性で。

一歩昔に踏み込んだ服を、カッコよくて現代の街で着たい洋服に昇華しています。





UMC JACKET . fake wool ( Col. black, Size. 1, 2 ) 49500yen with tax / ATOZ

RELAX PANTS . fake wool ( Col. black, Size. free ) 38500yen with tax / ATOZ


ATOZの新作、Urban City Mackinaw JACKET。

チェストポケットと連結したフロントヨーク、外へ広く開いた襟。

懐かしいヘビーデューティの香りを”現代の街で着られること”に全振りした洋服。

小林泰彦のイラストで見ていた”男臭さとカッコよさ”を彼らの世界線で構築するとこうなるのかと楽しくなる。

自然と対峙するギアとしての”頑健さ”を旨としていた50年前の装いからは、厚みと硬さが落ちている。

それでいて、存在感を主張するメタル釦の組み合わせが面白い。

ミスチョイスに思える組み合わせも。

山小屋みたいな秘密基地に篭りふらりと沢におりたりピッケルを握っていた時代から、ゆっくりと気化したカッコよさを置換し集め、凝化してコロンと転がり出た玉のように思う。

マッキーノといえば厚手のウールを想像するが、生地はやや粗く起毛を掻いたリネンキャンバス。

既存の工場が年々縮小していく中で、新しく和歌山の工場が加工を請け負ってくれることに。

この辺りのネットワークとフットワークが彼らの”らしさ”を支えていると思う。


スタイリングはごついヘリンボーンのカーゴパンツではなく、共地のイージーパンツ。

イージーパンツと聞くとトレイルパンツとの合わせにニュアンスは近いかと思いつつ、スラックス映えするシルエットとボリュームのインパクトがよい。

「パンツはだっぷり見せたいんですが、かかと踏むのは嫌じゃないですか。逆モーニングカットにしたんです。」

20年くらい前にやたら流行ったモーニングカットという単語を懐かしみながら。

”逆”という響きに、地続きだけれども流行の周期やその揺らぎに収まらない新しさを感じます。





UMC JACKET . splitfiber cloth ( Col. black, Size. 1, 2 ) 44000yen with tax / ATOZ

RELAX PANTS . splitfiber cloth ( Col. black, Size. free ) 33000yen with tax / ATOZ


素材を変え、極細の割繊糸を使った高密度のツイル生地。

独特の微起毛があり光沢感は抑えたといっても、デザインに対してやや上品な雰囲気。

化繊を使ってみようと思ったきっかけは、ATOZのメンバーに小さな家族が増え。

「シミ汚れの機会が増えても、イージーケアでカッコよく着たいじゃないですか。」

とのこと。

糸に毛羽を生じさせる割繊は、化繊の中でも天然繊維のような経年変化やチョークマークが生じる素材。

現代のテクノロジーを凝縮した”頑健さに重さが共わない”アウトドアシーンのギアの在り方や様相が、必要十分を旨とするヘビーデューティが射抜くべき素材に変化をもたらしてる中で。

それでもやっぱり。

”カッコよいとは?”と思いを巡らせた時に行き当たる、憧れに近いだろうカタチのカッコよさ。

そのニュアンスを街で着るリアルな洋服として提案する一着です。


ぜひ、彼らの冒険譚を聞きにいらしてください。






皆楽の珈琲も楽しみに。


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