2025/05/22 15:29
先日、母の付き添いで訪れたフランスのパビリオン。
ヤックルが先に目について、ジブリな頭になりかけたところを横殴りするようなガーゴイルの暴力。
事前情報はVUITTONとDIORのトワルだったので、不意打ちに近い感覚。
20年ほど前に。
大聖堂を素通りしようとする引率の社長に駄々をこねて、訪れた折に目にしたはずの１体のうちのどれか。
焼け残ったというか、事前に外されていて火災を逃れていたんですね。
遺物は持ち出せたというニュースは知っていたのですがガーゴイルが残ってたのはつゆ知らず、そこそこ熱い気持ちに。
19世紀に取り付けられてから火災に遭うまで野晒しであった部品に近い彫刻、他のアートとはまた違った野趣味を感じます。
石木に限らず洋服の話をすれば。
19世紀の服はヴィンテージショップで存外手に取ることができるもの。
生地だけで言えば1周年に ALTT MADE で作ってもらった、江戸と明治時代の襤褸のコートとかも19世紀のモノ。
何とも言えないひねた深みがあります。
それに至るまでの来歴の日々を窺い知ることは叶わないのだけども、クロークにある洋服に蓄積されていく経験値は自分の記憶とダイレクトにリンクするもの。
100年、200年後のことは後続に託すものとして、記憶の届く範囲を楽しんで欲しい洋服があります。
ATOZ M-24H TOROUSERS . 炭インディゴ ( Col. indigo, Size. 3 ) 53900yen with tax / ATOZ
丁度着用を初めて1年が経過する、帆布を炭とインディゴで染めたトラウザーズ。
頭半年で水洗いを4度、残り半年で1回の洗濯。
着用は週の半分を穿いてるかな？というほど。
水に通していないのでフェードはそれほど進んではいないのだけれども、接客の時に膝立ちをする癖があるので膝下少し広い範囲で強めのアタリが出ているのと。
足を組む癖なのか、歩く癖でなのか、右と左で横皺の入り方が微妙に違う。
元々加工で柔らかい帆布だったのだけれども、更に柔らかく。
さりとて帆布は帆布。
まだ角の立つ固さと張りがあり、ドレープに鋭利さが残ります。
この生地がもっと淡く滑らかになった時に、この皺となって現れている箇所の表情や。
インディゴの影のように深い所で混じっている炭の黒がハッキリと表に出てきた時に。
どれだけ格好が良い服に育っているかがとても楽しみです。
手に持っているのは同品番のトラウザーズ。
尖った加工の生地になるのでロット毎での表情がかなり変わる。
店にあるのはハードめにウォッシュが利いたロットで、スタートからの柔らかさとシボのような当たりが目をひきます。
ここからまた、その一本だけの経年変化を楽しんで欲しい洋服です。
FISHERMAN SMOCK . v natural ( Col. v natural , Size. 2 ) 39380yen with tax / ALTT MADE
どこか懐かしい愛嬌のあるフォルム。
アーバンなワークアイテムとして着ても良いし、独特な高さと幅のネックはコミカルにスタイリングすればアニメチックでスポーティな印象にも着れる面白い服。
ロット毎で個体差が楽しめる洋服は、このフィッシャーマンスモックも。
フランス軍のヴィンテージのボックスシーツをリメイクした洋服は、元のシーツの状態でスタートのこなれ感が変わる。
前々回のロットはデッドストックだったので糊が利いた硬い生地で、前回はかなり使い込まれて白く色が抜けた生地。
今回のロットは糊の残った感じはしないけども、クタクタに使い込まれた程でもない比較的若い印象の生地の服です。
軍に納品される生地のメーカーは同じでも時代毎にタグや組成が変わるのも面白いと感じるポイント。
ブラックコレクションから始めた ALTT MADE のシリアルNo.のインクスタンプを、前回のロットからスタンダードのフィッシャーマンスモックにも押すことに。
”コレからも生地が手に入るだけ続けていく服だから、3桁とかいったら良くないですか？それで最終全部消えて無くなるみたいな”と、ちょっと斜に構えた遊び心も堪能して欲しい。
シーツとして経年変化した生地に改めて洋服としての経年変化を加えていく。
店をオープンする時から着ているスモックと比べて、生地自体の色や柔らかさもだけども、首元や肩や袖周りの癖、それにフランクな日常着として使い込んでいくことで新しくついた汚れや傷も含めて。
積み重ねていく変化の奥にある、自分がカッコ良いと思うコトや好きといった芯のようなモノを勇気づけてくれる洋服です。
当たり前な話。
10年、20年を振り返った時に大きなイベントがクローズアップされて、日々の細かいことを思い出すことは稀有なのかもしれないけれども。
今日この洋服を着て出かけようと手に取った時に、3年や5年くらい前の居酒屋での仕出かしなんかをふと思い出して懐かしく語れる。
そう在れる洋服ってとても素敵なことじゃないですかね。
そんな洋服と出会にいらしてください。
お待ちしています。
" ノートルダムダム大聖堂のガーゴイル像：大阪万博フランス館にて撮影 "
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RÜCKWÄRTS
営業. 12:00 - 18:00
定休日. 火曜日，時々不定休
最寄駅
近鉄戦. 針中野駅
谷町線. 駒川中野駅
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大阪府大阪市東住吉区駒川 5-17-1 #2
