2024/08/29 19:47
1940年ごろのイギリス。
アメリカやフランス、ドイツだって良い。
洋服好きのインスピレーションの素を煮こごらせた様な時代。
実際どうだったかは、ざっくり授業で習ったりもするのだろうけども。
たぶん時代のカッコ良さや空気感みたいなものは、小説や映画から嗅ぎ取るんじゃなかろうか。
戦争というミキサーで、モノやヒトやポリシーがぐちゃぐちゃになったものを。
物語として。
客観的に、俯瞰的に、何よりも安全かつインスタントに体験する。
それもタイトルを複数乗り換えれば、多角的に。
そうして、主観であるような共通認識のような”カッコいい“が形成されていく。
もちろん。
ヴィンテージショップで、いま目の前にある洋服の存在感に憧れを炸裂させるのも良い。
セレクトショップで伝えて広められる口伝のような良さの集積もある。
そうして培われた”カッコいい“のセンサーに、確りと反応がありながらも。
アンノウンである洋服というのは、とても興味深くはないだろうか。
デザイナーが。
40年代くらいのオフィサーシャツですよ。
というシャツは、角張ったところがないものの存在感のある洋服。
ワークのような簡素さではなく。
仕立てっぽさが残るあたりヨーロッパのミリタリを彷彿させつつ、そうした服の持つ厳しさが前にはこない。
長い着丈と特徴的な前立てのカーブは、シャツがガチ肌着だった頃の名残かなと。
過渡期だったので色々あるみたいですと。
時代の前後。
個々の洋服の個性みたいなディテールの差異を、そうだったのかな、こうだったのかなと考えるのも楽しい。
この洋服の特徴は釦を全部飛ばして、タックアウトで着るとわかりやすい。
あと裾の分量が増えることで生じる、独特なドレープ。
ドレスだと良くないんでしょうけどもと言いつつ、綺麗なカーブを出すために必要な縫製の技量は如何なほどか。
軽さや頼りなさを前に出さずに、ダルんとしたスタイリングの良さ。
今の気分にどうだろう。
分量のある裾を巻き合わせるようにタックインすると、ブラウジングした時にヘソで合わせが割れない。
腰回りでもたつかないので括れがキレイに出る。
着丈が長く、釦位置の高い洋服をウエスト高めでインした時のあるあるは、釦の間隔の調整を含めて解決済み。
袖も釦でアジャストしてカフを強調すると、さっきのダルんとした感じから打って変わり、すっきりとした印象へ。
全体の分量感に埋れているけども。
バンドカラーは気持ち高いめ。
これは襟がデタッチャブルだった頃の名残りだろうか。
この洋服が持つ。
粗野過ぎず華奢過ぎない雰囲気は、細番の強撚糸を緯糸に配したシボのある生地から。
縦糸の甘さに対して、糸密度が高いのが面白い。
生地染めにしているので。
生地自体の立体感に対して、糸染の刷毛目生地よりもフラットに感じ。
素材の上質さと表情の無骨さという、コンプレックスを含んだ雰囲気を醸してくる。
釦は黒蝶貝の猫目に艶消しを施したオリジナルのもの、これも同様。
こうした素材の按排も含めて、確りとデザインとして昇華されている。
大好きな憧れの匂いがするけども。
デザイナーが主として創造した、デザイナーのカッコいいを発信する新しい洋服は。
物語で当時を追体験する。
ジョーやクリストファーの世界の登場人物達が着ていない服。
それらの在り方は。
時代や世界を上手にさらったファンタジーみたいなモノかもしれない。
ぜひ、店で袖を通してみてください。
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RÜCKWÄRTS
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